「米朝」より大注目「元大統領顧問弁護士」決定的議会証言

冒頭陳述「全文翻訳」

執筆者:藤原朝子2019年2月28日
まだ「隠し玉」を持っている?(C)EPA=時事

 

 失うものは何もない――。ドナルド・トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン(52)の下院監視・政府改革委員会での証言を見ていると、生来気の弱い男が覚悟を決めたときの決然とした気迫のようなものが感じられた(公聴会も7時間を超えると、ややふにゃふにゃして来たが)。

 トランプ大統領の弁護士として、そして「フィクサー」という名の尻拭い役として、コーエンはこの10年、トランプの仕事と私生活をつぶさに見てきた。それだけに、第2回米朝首脳会談のためにベトナム訪問中のトランプ大統領も、コーエンが何を言い出すかと戦々恐々で、テレビ中継を見ていたのだろう。

 コーエンはすでに昨年12月、偽証罪やポルノ女優への口止め料支払いによる選挙資金法違反などで禁錮3年の有罪判決を言い渡されており、その裁判書類が閲覧できること(黒塗りにされている部分も多いが)や、本人がメディアのインタビューに応じていることなどもあり、議会で証言するといっても何らかの具体的証拠を示さないかぎり、大したインパクトはないと言われていた。

 ところが蓋を開けてみると、コーエンは冒頭陳述とともに9つの証拠書類を提出。このうち、トランプ大統領がドイツ銀行に提出した2011〜2013年の資産報告書や、コーエンが負担したポルノ女優への口止め料をトランプ大統領が弁済した小切手のコピーなどは、彼の証言内容を裏付ける強力な証拠と言えるだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。