財務省が「印象操作」のために公表したグラフの1つ(財務省HPより)

 

 統計不正問題で国会が揺れる中、財務省が「いわく付き」の統計を2月28日に発表した。国民所得に占める税と社会保障負担の割合を示す「国民負担率」である。

 2019年度の国民負担率は42.8%と、2018年度に比べて横ばいになるとしている。10月に消費増税が控えているにもかかわらず、好景気で所得が増えるので負担は変わらない、というのである。

 この統計を「いわく付き」と言ったのは、財務省は常に次年度の「見通し」を強調して発表し、しかも3月末で終わる「実績見込み」と比較するのだが、この「見通し」も「実績見込み」も当たったためしがないからである。常に、実績よりも低く見積もられているのだ。そして「実績」については、ほとんど触れない。

 今回の発表で言えば、2017年度の実績数値が確定し、42.9%となって過去最高を記録したのだが、2017年度の「見通し」を発表した際には、2016年度の「実績見込み」値42.5%に並ぶ横ばいだ、としていた。

 ところが、翌年2月に統計を発表した時には、2016年度の「実績」は42.8%と0.3%も上昇し、「実績見込み」となった2017年度は42.7%と0.2%引き上げられた。その実績見込みもいい加減で、今年蓋を開けてみれば、「実績」はさらに0.2%も高かったというわけだ。そのあたりについては、2017年2月20日の拙稿『財務省に操られた「国民負担率」報道の「まやかし」』を参照していただければ明らかである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。