歓迎夕食会で田中首相(左)に手ずから料理を勧める周恩来首相(1972年9月)。首脳同士でこうしたやり取りは極めて珍しく、周首相の「情」が垣間見られた一場面だ(C)時事

 

 日中両国が平和友好条約を締結してから早くも41年経過した。この41年を振り返るまでもなく、両国の関係は決して平たんな道のりとはいえない。『NHK』(BS1)のドキュメンタリー番組『中国“改革開放”を支えた日本人』(2019年2月10日放送)は、40年前の日本人が本気で中国の経済発展に協力しようとしたことが証言されている。むろん、苦労も多かった。

 これまでの中国研究の多くは、両国の体制の違いによって関係がぎくしゃくしていると総括している。とくに、日本人中国研究者の一部と日本のメディアは、中国共産党が進める愛国教育により、中国人の反日感情が煽られたと指摘している。その指摘は間違ってはいないが、反日教育の効果を過大評価してはならない。

政治の影響を受ける中国の若者

 今、毎年約600万人の中国人が日本に来ている。彼らの顔からは、反日の表情がまったく観察されない。中国人観光客が日本に来る第1の目的はむろん買い物であるが、第2の目的は、日本の種々の文化を楽しむためである。彼らの関心事は日本のアニメや漫画にかぎらず、京都や奈良に行けば、中国古典文化の神髄を体験することができる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。