「高米価政策」が招いた汚染米事件の必然

執筆者:山下一仁2008年11月号

汚染米事件を招いたのは、ミニマムアクセス米の無意味な輸入だ。「高米価維持」の大方針を変えぬ限り、事件が再発しても不思議ではない。 起こるべくして起こった、と言わざるをえまい。米粉加工会社「三笠フーズ」が農林水産省から工業用の糊として処分するために売却された汚染米を、焼酎、菓子などの加工用途、給食用などに不正に横流しした汚染米事件のことだ。 コメはアフラトキシンというカビ毒や一般のカビ、メタミドホス、アセタミプリドなどの残留農薬で汚染されていた。そして、その後三つの企業が同じような横流しをしていたことが判明した。汚染米八千三百六十八トンのうち、横流しされなかったことが確認できたのはわずか二百十三トン。半分以上の四千二百六十三トンは横流し業者に処分されたことがわかっており、残りも調査中だ。ほとんどが横流しされたと考えてよい。工業用の糊向けに売却すると一トン一万円程度だが、焼酎などの加工用途だと七万円、食用なら二十五万円で売れるとの報道もある。横流しすると必ず儲かるのだ。 農水省がカドミウム汚染米を、同じく工業用の糊向けに売却したことがあった。このときは、コメを粉々に粉砕したうえで、顔料のベンガラで赤い色をつけるという横流し防止処置を徹底した。当時の農水省は、用途によって大幅な価格差がある以上、横流しが起こるのは当然と考えていた。現在でもカドミウム汚染米には同じ処理をして売却している。

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