マクロン仏大統領(右)の「欧州軍」構想を支持するメルケル独首相(中)、批判するトランプ米大統領(左)の呉越同舟。2018年11月、第1次世界大戦終結100周年記念式典にて (C)EPA=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領は2018年7月11日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、防衛支出を対国内総生産(GDP)比で従来の2%から4%に引き上げるよう、加盟国に対して求めた。これに対してイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は、共通目標であるGDP比2%を、全加盟国が達成することに力を注ぐべきだと述べた。「さいわい、多くの加盟国がこの目標に近づいている」のだから、というのである。この2%目標は2014年に英国ウェールズで開かれた首脳会議で合意されていた。

 トランプ大統領が特に強く批判したのは、欧州随一の経済大国・ドイツである。なぜならドイツの防衛支出は、2017年、18年と続けてGDP比で1.24%、と低かったからである。因みにいうと、核兵器国イギリスのそれは2017年に2.11%で、これもトランプ基準では不合格、NATO本部のあるベルギーは0.91%、その隣国ルクセンブルクは0.52%と、いずれも極端に低い。また米国の北の隣国カナダは10年以上にわたりおおむね1.0%から1.4%の間で上下している。だからトランプ大統領が特にドイツだけを名指しして非難したのは公正を欠いている。が、ドイツが欧州随一のGDP大国である以上、それもやむを得まい。

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