マクロン「欧州軍」構想から始まるNATOの「黄昏」(下)
2019年3月13日

今年2月に行われたミュンヘン安全保障会議で、ペンス米副大統領はNATO加盟国の防衛支出増を歓迎したが…… (C)AFP=時事
冷戦期にソ連による支配の下に甘んじていた東欧のワルシャワ条約機構加盟国のうち、ポーランドはエマニュエル・マクロン仏大統領の「欧州軍」構想にどう反応したか。
旧ソ連圏の国ぐに
米国の保守的、ないし右派だとされている『ブライトバート・ニュースシンジケート』は昨年11月26日付で、「ポーランドは欧州軍といったものを軽蔑していて、米国だけが欧州の安全を保障してくれる唯一の国家だと見ている」との見出しの下、マクロン大統領、アンゲラ・メルケル独首相、それと「EU(欧州連合)の幹部官僚」たちによって推進されているこの構想が、米欧間に現在みられる安全保障関係を根底から覆してしまうのではないか、と憂慮している。
これをあながち右翼的論調と決めつけることもできまい。ロシアの報道機関『スプートニク』の国際版は昨年11月16日、ポーランドの軍事評論家、ポドゴルスキ評論員の見解を次のように紹介しているからだ。マクロン大統領の「欧州軍」構想は興味深いものだが、西欧中心的に過ぎる。しかも、この提案は新しいものではない。そのうえ、そのつど背後にはフランスとドイツがいる、と。
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