英議会に臨むメイ首相。おとしどころはどこになるのか…… (C)AFP=時事

 

 3月14日、イギリス下院は欧州連合(EU)離脱(BREXIT)の延期を求める動議を、大多数の賛成で可決した(賛成413票、反対202票)。今後は20日までに、イギリス・EU間で合意した離脱案を議会で承認することを条件に、6月末までの延期を目指す。

 イギリス下院は3月12日に、イギリス・EU離脱協定を否決(賛成242票、反対391票)したが、翌13日に行った「合意なき離脱」回避の是非を問う投票では、これをかろうじて可決(賛成321票、反対278票)。そして14日には、離脱延期を採択した。3月29日の離脱予定期日を前に、あわただしい連日の議会での投票劇だった。

「3回目のチャンスはない」

 これによって、3月29日の「合意なき離脱」は土壇場で回避されそうだという観測が強まり、ヨーロッパは胸をなでおろしているが、これで解決したわけではない。事態が先送りされただけだ。合意なき離脱の可能性が消えたわけではない。

 第1に、3月20日までにイギリス・EUでまとめた離脱協定の議会承認が得られるかどうか、がある。12日に行われた議会の票差は149票だったので、1月15日の得票差230票(賛成202票、反対432票)よりは大きく縮まったものの、依然としてまだ差は大きい。

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