「国民国家の力党」の集会にビデオメッセージを寄せたプラユット暫定首相(C)時事

 

 2月8日に国家維持党が同党首相候補としてウボンラット王女を推薦した一件は、どうやらタクシン・チナワット元首相のタイ政界に対する影響力を後退させてしまっただけではなく、総選挙後に成立するであろう新政権――大方が予想するプラユット・チャンオチャ政権であれ、他の政権であれ――の国政運営に少なからざる影響を与えることになるように思える。

 総選挙を経た後、当初想定されていたような形で政治日程が消化され、新政権がスンナリと発足することになるのか。不確定要素が、また1つ加わったと言っておきたい。

劣勢が否めないタクシン派

 3月7日午後、1200人に及ぶ警察官が厳重に警備する中、憲法裁判所は「国家維持党がウボンラット王女を首相候補に推薦したことは政党法に違反し、タイが長年堅持してきた君主立憲政体を破壊し、王室を現実政治の上位に置き政治的中立を旨とする王室の伝統に違反する」と極めて厳しい判断を示した。そして同党の解散に加え、すでに辞任している1人を除く同党中央執行委員13人に対し、10年間に及ぶ政治活動禁止を命じた。政治活動禁止期間については9人の裁判官の意見が分かれ、最終的には6対3の票差で10年に決定したことが明らかにされたとのことだ。

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