米EAI作成の日本の電源燃料割合の変遷を示したグラフ

 

 なぜ、日本では気候変動問題が話題に上らないのだろうか?

 先日、若い友人と「FIT(固定価格買取制度)終了」、すなわち余剰電力を高めの固定価格で大手電力会社が買い取らなければならない制度に基づいた契約が徐々に満期を迎えるという話になったとき、そもそも気候変動問題という観点からは同じ側にある原子力との対立軸として再生可能エネルギーが位置付けられているというのはなぜだろう、という疑問に遭遇した。CO2排出量の観点からは、再生可能エネルギーは化石燃料の対極に位置するものだ。石炭こそが対立軸ではないのだろうか。

表1:『BP統計2018』より筆者作成

 本欄ではおなじみの『BP統計2018(BP Statistical Review of World Energy June 2018)』によると、2017年の日本の1次エネルギーの消費比率は、世界と並べると、次の通りとなっている(表1)。

 1次エネルギーの中でCO2を排出するのは化石燃料で、その排出割合は石炭を「1」とすると、石油が「0.8」、天然ガスが「0.6」というのがおおまかな数字である。天然ガスは石炭のほぼ半分なので、環境に優しいエネルギーといわれている。

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