ブレグジット考(下) 誰が離脱に投票したのか

執筆者:国末憲人2019年3月27日
「レフト・ビハインド」の一般的なイメージに最も近い街ウェークフィールド。写真は中心街のショッピングモール(筆者撮影、以下同)

 

 英国で2016年に実施された国民投票の結果は、欧州連合(EU)残留が48.11%、離脱が51.89%だった。離脱を選んだのは、どのような人々だったのか。

「レフト・ビハインド」

 その典型例として、ある種の流行語ともなったのが「レフト・ビハインド」である。「取り残された」「置き去りにされた」といった意味で、グローバル化に付いていけない人々を指す。移民の増加に不満を募らせる貧しい白人たちのイメージを、多くの人はその言葉に重ね見た。

 この用語を提唱したのは、右翼研究で知られるケント大学教授マシュー・グッドウィンと、マンチェスター大学教授ロブ・フォードである。フォードが国民投票直後に『ガーディアン』紙に発表した論考によると、「レフト・ビハインド」は年老いた白人で、社会的には保守で、経済的に恵まれない地域に暮らす。彼らは、大卒のリベラルな政治支配層に対してそっぽを向いた。欧州問題と、特に移民問題で、考え方が全く違うと認識したからだ――。

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