拍手はするものの、仏頂面 (C)EPA=時事

 

 3月15日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当とされるが党の決定の追認大会と言われる)において、個人的に興味を惹かれたのは、エコノミストが議論する経済政策うんぬんというより、習近平国家主席の終始憮然とした不機嫌そうな顔だった。

 李克強首相が緊張からなのか見ている側があきれるくらい、まるでマラソンを終えた選手のような汗を流し、政治報告を読み終えて席に着いても、習主席は、握手すらしなかった。これでは李首相のメンツもない。

 習主席の不機嫌ぶりは何が理由なのか。その不満を米中交渉に絡めて探ってみよう。

技術移転を契約草案に

 具体名は不都合なことが多々あり控えるが、某日本企業首脳が体験した実話である。中国で中国側企業と出資し合い、現地に合弁の工場を作る交渉中の出来事だ。日本企業は日本で有数の技術を誇る一流会社である。

 交渉過程で中国側が提示してきた契約書の草案の条項には、趣旨として「日本で製造する製品と同じ性能の製品を合弁工場で製造すること」とあった。

 この一文は、将来にわたり、この日本企業が日本で研究開発した先端の性能を持つ製品を、中国の合弁工場で作るよう要求したものだった。

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