米中首脳会談が、4月以降に延期で、貿易戦争解決も先延ばし。権威の低下は続くか (C)AFP=時事

 

 全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で対米配慮が目立ち、それが習近平国家主席の仏頂面の理由の1つと本稿(上)で指摘したが、誤解なきように言えば、中国は米国の覇権を奪うためのハイテク産業育成政策「中国製造2025」にわざわざ「政治報告」で言及せずとも、粛々と進めていく方針に変わりはない。

「権力」あっても「権威」なし?

 習主席の不機嫌さは、『狼煙を上げた知識層の激烈「習近平批判」』(2019年2月27日)で指摘したように、習主席の権力集中ぶりやその任期撤廃、経済の鈍化、加えて対米関係の悪化などについて、知識層や党内外から攻撃される状態に加え、経済政策(特に債務依存からの脱却と景気刺激対策)や外交政策で、党内の意見統一、共通認識の形成が完全になされていないからだろう。

 ようするに、昨年3月の全人代以降、国内では権力を一極集中させる習主席に対する批判が渦巻いていたが、米国の制裁によって党内での求心力が急激に低下しているのだ。

「権力」が集中しても「権威」が宣伝の割には確立していないのが実情、との見方が国内の知識層から相次いで聞こえてくる。批判は右派・左派双方から出ており、保守系の中国共産党関係者や軍関係者から、習主席に対する不満や批判が聞かれるのも明白な変化だ。

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