イタリア「対中」陥落を仕掛けた「黒幕」

執筆者:花田吉隆2019年3月28日
パリで記者会見に臨んだ(左から)EUの欧州委員長、習近平・中国国家主席、マクロン仏大統領、メルケル独首相。緊張感漂う関係はしばらく続きそうだ (C)AFP=時事

 

 EU(欧州連合)の中国に対する見方が急速に変わりつつある。これまでの親中から一転して反中へ、中国に対するかつてないほどの警戒ぶりだ。

 そうした中、3月21~24日まで、中国の習近平国家主席がイタリアを公式訪問した。一帯一路のニンジンを片手に、ヨーロッパへの影響力拡大を狙う中国。これを迎え撃つEU。中国とEUとの一連の外交日程はまだ始まったばかりだ。攻める中国と守るEU。21世紀の幕が開け20年足らず、世界の勢力図は確実に変わろうとしている。

「重要企業が次々と落ちている」

 「中国は『体制上のライバル(システミック・ライバル)』である」「中国は異なる政治体制モデルを(ヨーロッパに)広めようとしている」と、11ページにわたるその文書は第1ページ目にこう書き記していた。続けて、「死活的重要性を持つデジタル・インフラの安全確保のため、5G(第5世代移動通信システム)網の安全に向けたEUの共同対処は不可欠である」との文字も見える。

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