「ベネズエラ危機」で再編が加速する「南米勢力図」の展望
2019年3月28日
3月22日、チリのサンチアゴで南米諸国首脳が「進歩のための南米フォーラム」(PROSUR)の結成を宣言し、事実上、南米諸国連合 (UNASUR)に代わる新たな地域統合体が立ち上がることになった。
右派政権のチリのセバスティアン・ピニェラ大統領とコロンビアのイバン・ドゥケ大統領のイニシアティブによるもので、署名した7カ国はリマグループと同様、ベネズエラのフアン・グアイド暫定大統領を承認し、ニコラス・マドゥロ「独裁政権」の退陣と選挙の再実施を迫る。
マドゥロ政権は言うまでもなく同フォーラムから排除され、同政権を支持するボリビアと、内政不干渉の立場から中立を守るウルグアイ、この南米に残る2つの左派政権は参加を見送っている。
ベネズエラ危機が親米・保守政権の結集につながり、南米統合の再編を加速しているのである。
分裂が決定的となった「UNASUR」
ガイアナとスリナムを含む南米12カ国の首脳が2008年5月、ブラジルの首都ブラジリアで創設条約に署名し、発足したのがUNASURであった。欧米主導で築かれた戦後国際秩序をBRICS外交で改編しようとするブラジルのルラ大統領(当時)のイニシアティブの下、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領(同)の強力な後押しがあって結成された。
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