この父子の王位継承は問題ないのだろうか(C)AFP=時事

 

「サウジアラムコ(以下アラムコ)」による「PIF(公共投資基金)」の持つ石油化学会社「SABIC(サウジアラビア基礎産業公社)」の70%株式買収が完了した。

「アラムコ」という国営石油会社が、国家主権基金である「PIF」の持ち分を購入するものだから、「右のポケットにある金を、左のポケットに移すだけ」と揶揄されるのも故なしとはしない。

 通常、大企業による他の大企業の買収というものは、持続的な成長を求める大会社の経営陣が、自分たちが合併して経営すれば、直接間接の効果を含めて、買収先の企業価値を、現在の市場における評価より圧倒的に高いものに引き上げることができる、分かりやすくいえば、合併会社として弱い部分を強くし、強い部分をさらに強くすることができる、と確信して行うものだ。だから株式市場の評価にプレミアムをつけて買収できるのだ。プレミアムがないと、買収される側の現株主には売却のインセンティブが出てこない。

 石油業界における最近の大型合併では、「ロイヤル・ダッチ・シェル」による「BG」の買収があり、支払われたプレミアムは52%と報じられていた(『ロイター』2015年4月8日「シェルが英BGグループの買収で合意、総額702憶ドル」)。

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