サウジ「ポケット移動の大型買収」への市場評価

執筆者:岩瀬昇 2019年4月1日
この父子の王位継承は問題ないのだろうか(C)AFP=時事

 

「サウジアラムコ(以下アラムコ)」による「PIF(公共投資基金)」の持つ石油化学会社「SABIC(サウジアラビア基礎産業公社)」の70%株式買収が完了した。

「アラムコ」という国営石油会社が、国家主権基金である「PIF」の持ち分を購入するものだから、「右のポケットにある金を、左のポケットに移すだけ」と揶揄されるのも故なしとはしない。

 通常、大企業による他の大企業の買収というものは、持続的な成長を求める大会社の経営陣が、自分たちが合併して経営すれば、直接間接の効果を含めて、買収先の企業価値を、現在の市場における評価より圧倒的に高いものに引き上げることができる、分かりやすくいえば、合併会社として弱い部分を強くし、強い部分をさらに強くすることができる、と確信して行うものだ。だから株式市場の評価にプレミアムをつけて買収できるのだ。プレミアムがないと、買収される側の現株主には売却のインセンティブが出てこない。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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