スペイン国王に謝罪要求「メキシコ大統領」の危うい「民族主義的ポピュリズム」
2019年4月3日

安易なポピュリズムに走るのか(C)EPA=時事
メキシコ市のトラテロルコに、観光地としても有名な「三文化広場」がある。古代を象徴するアステカの遺跡、スペイン植民地時代を象徴する教会、それに独立後の現代メキシコを代表する旧外務省などの近代ビル建築群から成る。
遺跡の傍らに記念碑が立っていて、次のように記されている。
「クアウテモクによって英雄的に守られたトラテロルコは、1521年8月13日、エルナン・コルテスの手に落ちた。それは勝利でも敗北でもない。今日のメキシコである、メスティソ国民の痛みをともなう誕生であった」
「メスティソ」は白人と先住民の混血のことである。
メキシコの国民アイデンティティー
2021年は、古代アメリカとヨーロッパの2つの文明がぶつかり、ヨーロッパ文明に軍配が挙がってから500年となる。アステカ帝国の最後の皇帝クアウテモクが、征服者コルテス率いるスペイン軍に敗れ、帝国の崩壊、スペインによる征服、その後の300年の植民地が始まった。
また同時に2021年は、メキシコがスペインから独立して200周年の記念すべき年でもある。
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