国会での真剣な議論も必要(C)時事

 

 日本においても、新聞や雑誌といった既存メディアを凌駕する勢いで拡大するネットメディアにとって、重要な問題である「忘れられる権利」が本格的に検討され始めた。今後、ネットメディアは大きな転換期を迎える可能性がありそうだ。

 2月末、政府の個人情報保護委員会が2020年の個人情報保護法改正に向け、「忘れられる権利」の検討に着手した。改正の中間論点案は、近日中に公表される見込みである。

「忘れられる権利」とは、インターネットなどのサイト上で、各種の個人情報が公開され、これが長年にわたって消えずに残っていることに対して、記録に留められるべき条件を持たない過去の個人にまつわる情報を抹消する権利のことを指す。

 たとえば、ある週刊誌の10年前の2009年4月某日に発売された号に掲載された記事、あるいはグラビア写真を探そうとすれば、大変な労力を必要とするだろう。また、新聞には縮刷版があるが、古い記事を探すのは簡単ではない。半面、こうした紙媒体による情報は、時間の経過とともに人々の記憶から薄れていく。

 だが、インターネットのウェブサイト上にアップロードされた情報は、どんなに古いものでも、何らかの関連するキーワード1つで簡単に検索することができ、誰でもが瞬時にして見つけ出すことが可能だ。

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