米中経済対立は「新冷戦」と呼ばれ始めたが、かつての「米ソ冷戦」ほどには鋭角の対立に感じられない。

 米ソ冷戦下の東西両陣営は、時に全面核戦争も辞さない軍事的な緊張によってすべての分野で関係が冷え込み、経済関係、人的交流も希薄だった。

 これに対し、米中は2国間では世界最大の貿易関係であり、相互投資も活発である。米国に毎年、留学する外国人学生の3分の1は中国人であり、子供に米国籍を取得させるため身重で渡米し、出産する中国人女性は2017年には8万人を突破した、といわれる。

 米中は貿易摩擦に始まり、先端技術や軍事面で覇権争いを展開しながら、経済的、人的には深く結びつく双極性、二面性を持つ。これは対立、衝突の実相をうかがうことのできない「見えない戦争(Invisible War)」であり、世界は米ソ冷戦のような明白な「分断」ではなく、利害が錯綜する「坩堝」になる。はっきりしているのは、長い対立は始まったばかりであり、やがて来る結末が米ソ冷戦のように、非連続的変化を世界にもたらす可能性が高いということだろう。

貿易は拡大だが投資は消極的

 中国にとって主要な貿易相手国である日本と米国の、貿易全体に占める重みがどのように推移してきたかを、1997~2017年の20年間で追ってみたのが、冒頭に掲げた〈グラフ1〉である。

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