米中対立「見えない戦争」:「錯綜する利害」に揺さぶられる「世界」(上)

執筆者:後藤康浩 2019年4月8日
エリア: 北米 アジア
 

 米中経済対立は「新冷戦」と呼ばれ始めたが、かつての「米ソ冷戦」ほどには鋭角の対立に感じられない。

 米ソ冷戦下の東西両陣営は、時に全面核戦争も辞さない軍事的な緊張によってすべての分野で関係が冷え込み、経済関係、人的交流も希薄だった。

 これに対し、米中は2国間では世界最大の貿易関係であり、相互投資も活発である。米国に毎年、留学する外国人学生の3分の1は中国人であり、子供に米国籍を取得させるため身重で渡米し、出産する中国人女性は2017年には8万人を突破した、といわれる。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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