クタイシ郊外にある「ゲラティ修道院」はユネスコ世界遺産に登録されているジョージアの代表的な建築(C)EPA=時事

 

 前回(ジョージア「宴会」に隠された「社交の極意」2019年3月14日)、ジョージアの宴会・乾杯文化を紹介した。人びとの絆を重んじる義理堅い国民性や異人を歓待するジョージアの伝統文化は、(理念型としても)日本の伝統的な価値観との親和性を強く感じさせる。実際に、ジョージアは知る人ぞ知る大の親日国である。

 今回はなぜジョージア人がかくも親日的であるのか、その理由について考えてみたい。そもそも親日国ということを初めて知る方々も多いかもしれないが、私見ではしっかりとした固有の歴史的理由が存在する。

「古くて新しい国」

 この歴史的理由について述べる前に、ジョージアを訪れる日本人の誰もが感じるだろう心理的「近さ」について、あまりジョージアを識らない人のためにはじめに触れる必要があるだろう。

 ジョージアと日本は伝統文化に対する感性あるいは文化的感受性といったものを共有している。そのいい例はおそらくいわゆるマーシャルアーツで、たとえば、惜しくも大関陥落となってしまった栃ノ心関を代表に、相撲、ラグビー、柔道、空手、サンボ、プロレスと、格闘系スポーツはジョージア人はなんでもござれ。それも伝統的な「型」や背景となる心性まで踏み込んで造詣の深いジョージア人も少なくない。他方で新しい文化や制度の受容にも意外に積極的で、経済ではブロックチェーンの活用でも最近一部注目されるなど、日本同様、「古くて新しい国」である。

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