下院勢力図(筆者作成、以下同)

 

 5年に1度のインド総選挙の投票がいよいよ4月11日から始まる。「改革」と「成長」を求める若者や都市住民らの圧倒的支持により、2014年の前回選挙で圧勝した現与党「インド人民党(BJP)」とその友党が、地方政治家から大国インドの首相に駆け上がったナレンドラ・モディ首相の下で続投を賭けて挑む。

 今回初めて国政選挙に投票する18~22歳の「ファーストタイム・ボーター」約8400万人を含めた有権者は、約9億人。警備などの都合で、地域ごとに7回に分けて投票を実施する。全国103万カ所の投票所には電子投票機(EVM)がほぼ100%設置され、字が読めない人でも政党のシンボルマークを頼りにボタンを押して投票できる。開票は5月23日、半日程度で大勢が判明する。

 定数545(改選543)の下院議席を争うインドの総選挙は文字通り「世界最大の民主主義」を実践する一大イベントなのだ。

政権交代も不可能ではない

 農産物価格の低迷や一向に改善しない生産性などで疲弊する農村、大企業や製造業でなかなか増えない雇用、事実上の失敗に終わった高額紙幣廃止、そしてフランス製「ラファール戦闘機」調達をめぐる疑惑などを背景に、BJPは2018年以降の州議会選や補選で相次ぎ敗北。以前の楽勝ムードと打って変わり、かつてない逆風下で総選挙に臨んでいる。

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