今週の中東からのニュースで、地域国際政治の長期的・構造的な変化に大きな意味を持つのはこのニュースだろう。

"Exclusive: Egypt withdraws from U.S.-led anti-Iran security initiative - sources," Reuters, April 11, 2019.

エジプトが「アラブ版NATO」とも呼ばれる、サウジアラビアなどGCC諸国とエジプトが中心になる軍事同盟(正式名称は「Middle East Strategic Alliance=中東戦略同盟」)の結成協議の会議が4月7日−8日にかけて行われていたが、そこに代表を送らなかったという。ロイター通信はこれをエジプトの同盟への不参加表明として報じている。

「アラブ版NATO」は2017年5月21日に、就任して間もなく最初の中東訪問を行ったトランプ大統領が、サウジアラビアのリヤードでアラブ諸国やスンニ派の諸国の代表を集めた会議で呼びかけたのを受けて、結成が協議されてきた。

この同盟は、イラン及び、イランの影響を強く受けるようになったシリアやイラクやレバノンなど(それらはイラクやシリアのようにシーア派が多数派あるいは有力な勢力である場合が多い)の脅威に対して、サウジを中心にGCCとそれに関係が深いアラブ諸国が結束して対峙するという性質のものだ。当初より米国が強く支援し、イスラエルが歓迎している。

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