3月末、上場区分の見直し案を公表した(右から)東京商品取引所の浜田隆道社長、日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)、大阪取引所の山道裕己社長。本当に見直さなければならないものは他にあるのでは…… (C)時事

 

 日本取引所グループ(JPX)の東京証券取引所が3月末、「東証1部」の基準厳格化を狙った上場区分の見直し案を公表した。現在、東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場に分かれているものを、(1)グローバルに投資する機関投資家などを想定した市場、(2)一般の投資家が投資する対象としてふさわしい企業の市場、(3)成長性が高い新興企業向け市場、という3つの市場に再編するとしている。

東証1部の「質」に疑問符

 東証は2018年秋に「市場構造の在り方等に関する懇談会」(座長・神田秀樹学習院大学大学院教授)を設置、再編案を議論してきた。改革案を発表した3月27日現在で、東証1部が2139社、2部が494社、ジャスダックが715社、マザーズが279社と、圧倒的に東証1部のウエートが高まっている。かつては「東証1部上場」といえば、それだけで「信用できる会社」の代名詞だったが、上場基準や上場廃止基準を厳格化してこなかったために、1部上場が膨れ上がり、「当たり前」な存在になった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。