14年ぶりにオーガスタで聞いた勝利の咆哮(C)EPA=時事

 

 どんな優勝にもそれぞれに意味があり、その意味は、ときとしてその後の歴史を変えることがある。

 43歳3カ月15日で「マスターズ」を制し、同大会5勝目、メジャー15勝目、米ツアー通算81勝目を飾ったタイガー・ウッズは、1986年に46歳2カ月23日でマスターズを制した帝王ジャック・ニクラスに次ぐ史上2番目の年長チャンピオンとなったが、優勝会見でウッズは、「その1986年大会は、僕にとって大きな意味があった」ことを初めて明かした。

「1986年大会は、僕の記憶に初めて残ったマスターズだった。15番でジャックがグリーンを4番アイアンで捉えた瞬間、その場面は僕の心に突き刺さった」

 ニクラスのパワフルなショットに驚かされ、憧れを抱いたウッズは、以後、技術を磨きながら、同時にトレーニングを積んで体を鍛えていった。

 ウッズは生来のパワーヒッターだったわけではなく、ニクラスという先人に刺激され、ウッズ自身の意志と努力で生み出されていったのだ。

 ウッズがプロ転向した1996年当時、米PGAツアー選手たちは球を打って練習はしていたが、「ジムに行って体を鍛えていたのは、僕とビジェイ・シンだけだった」

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