「移民元年」で日本人が直視するべき「労働現場」の真実
2019年4月18日
4月10日に拙著『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)を上梓した。その内容には、自殺者まで出たブータン人留学生をめぐる問題や、『朝日新聞』販売所で横行するベトナム人奨学生の違法就労、全国各地に広がる「留学生で町おこし」の欺瞞など、これまで本連載で取り上げたテーマも多く含まれる。
連載が長期にわたって続き、こうして新著の出版が実現したのも、フォーサイト読者の方々の支えがあってのことだ。この場を借りて感謝の思いを伝えさせていただきたい。
“本丸”は留学生の動向
私は2007年、当時は月刊誌だった『フォーサイト』で外国人労働者をテーマにした連載『2010年の開国 外国人労働者の現実と未来』を始めた(2007年8月号~2010年4月号まで全27回)。その際、とりわけ関心を持って取材したのが、外国人介護士の受け入れ問題である。
翌08年、日本は経済連携協定(EPA)を通じ、インドネシアなど一部のアジア諸国から外国人介護士・看護師の受け入れを始めることが決まっていた。介護士らには、国家試験合格を条件として日本での定住、永住が認められる。日系人や日本人の配偶者、ホワイトカラーの専門職以外の外国人として、初めて日本で移民が誕生するかもしれない。私は日本が「移民国家」に向けて踏み出す重要な一歩だと捉え、外国人介護士の受け入れ問題を追いかけた。
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