バシル大統領の解任・拘束で民主化が進むかと思いきや、さらに混迷(C)AFP=時事

 

 アフリカ大陸北東部に位置する大国スーダンの内政が、混迷の度を深めている。30年にわたって君臨した大統領が追放されたが、その後の統治体制が固まらない。本稿執筆時点の情勢は極めて流動的だが、ここでは同国の歴史と現時点で得られる情報を基に、事態が今後どのような方向に向かっていくのか考えてみたい。

わずか1日で議長が交代

 まず、事実関係を押さえたい。

 スーダンのアワド・イブン・オウフ国防相(Ahmed Awad Ibn-Auf)は4月11日、1989年にクーデターで政権掌握して以来30年にわたって権力の座にあったオマル・バシル大統領(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)を解任し、身柄を拘束したとテレビで演説した。イブン・オウフ氏は、軍指導部を中心とする暫定軍事評議会が国家を統治し、2年後に選挙を実施する考えを明らかにした。

 ところが、その翌日の4月12日、イブン・オウフ氏が評議会の議長を辞任し、後任の議長にアブドルラフマン・ブルハン中将(Abdel Fattah Abdelrahman Burhan)が就任した。スーダンからの報道によると、バシル氏の解任後も市民によるデモが終息しなかった。イブン・オウフ氏はバシル氏の側近の1人であり、民主化を求める市民は軍主導の評議会に反発しているという。

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