もし業界大再編が起きれば原油価格はどうなるのか!?(写真は現在の価格ではありません)(C)時事

 

 米大手石油会社「シェブロン」が総額500億ドルで米独立系最大手「アナダルコ・ペトロリアム(以下、アナダルコ)」の買収に合意した。

 背景に何があるのか? 今後、どのような展開が待っているのか?

 その前に、少々思い出話をすることをご容赦願いたい。

 筆者が2度目のロンドン勤務となった1998年春、英「BP」のジョン・ブラウン社長(当時)は200人ほどの幹部社員に、「10ドル時代を生き抜くために何をすべきか」というメールを送り、意見を求めた、という話を聞いた。ブラウンは、低迷する油価、すなわち10ドル台がしばらく続く、これが「ニューノーマル(新常態)」になるかもしれない、という危機感から行ったのだ。

 油価低迷が続く中、毎年生産することにより減少を続ける保有確認埋蔵量(proved reserve)をどう維持するか、石油開発会社が生き残るために何をすべきか――。

 1986年に「逆オイルショック」に見舞われ、爾来、上がらぬ油価に苦闘を繰り返していた石油業界は、ようやく上昇基調に戻ったかと思われた1997年夏、タイ・バーツ暴落に端を発したアジア金融危機に襲われた。

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