テロが起きたニゴンボの聖セバスチャン教会では23日、葬儀が営まれた(C)AFP=時事

 

 インド洋に浮かぶスリランカで4月21日朝に起きた同時多発型の自爆テロは、中心都市コロンボなどの高級ホテルや教会が標的となり、日本人1人を含む290人の死者と、500人以上の負傷者を出す大惨事となった。これは犠牲者の数において2008年のインド・ムンバイ同時テロなどをはるかに上回る、南アジア史上最悪のテロ禍だ。

 約25年に及んだ内戦終結から10年、敬虔な仏教徒が大多数を占めながらもイスラム教徒やキリスト教徒とも共存していた「光り輝く島(シンハラ語)」スリランカで一体何が起きているのか。

治安はかなり安定していた

 スリランカは1948年に英国から独立。約2100万人の人口の7割がシンハラ人の仏教徒。残りは15%前後の少数派タミル人(主にヒンドゥー教徒)と、1割弱のイスラム教徒、そして7%前後のキリスト教徒が暮らす。

 1983年、少数派タミル人による武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」がテロ攻撃を開始、この小さな島は長い内戦に突入した。島の北部や東部にあたかも「ミニ独立国」のような支配地を確立していたLTTEは、スリランカのラナシンハ・プレマダサ大統領(当時)や隣国インドのラジーブ・ガンディー元首相(同)を暗殺したことでも知られている。

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