「自殺」で幕を閉じた「ペルー元大統領」の二面性

執筆者:遅野井茂雄2019年4月24日
ガルシア元大統領がペルーに遺したものは小さくない(C)AFP=時事

 

 イースターを前にした4月17日、元ペルー大統領アラン・ガルシア氏が自殺した事件は、大きな衝撃を与えている。ブラジルの大手建設「オデブレヒト社」による贈賄に絡み、検察が逮捕のため自宅に赴いたところ、自室で、ピストルで頭を撃ち自ら70年の生涯を閉じた。

フジモリ政権後の歴代大統領に捜査が

 ブラジルの大規模汚職に絡む捜査の過程で2016年、オデブレヒト社が2001年から7億8800万ドルの賄賂を中南米10カ国など12カ国の要人等に払った、との証言が出された。同社がインフラ事業の見返りに周辺諸国にばら撒いた贈賄の全容が明らかになり、地域全体に深い政治不信を刻印してきた。

 その影響を最も受けたのはペルーである。捜査はアルベルト・フジモリ政権後の歴代大統領すべてに及び、政財界を大きく揺るがせ、インフラ事業の中断にもつながった。

 アレハンドロ・トレド元大統領(2001~06)は、ブラジルとの大陸横断道路建設に絡み、2000万ドルを受領したとされ、犯罪人引渡要請が出される中、2017年から米国で雲隠れの状態である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。