議会でも必死の説得を試みたが……(C)AFP=時事

 

 最も恐れていたことが起こった。

 イギリス領北アイルランド2番目の都市ロンドンデリーにおいて、4月19日、29歳の女性ジャーナリスト、ライラ・マッキーさんが暴徒と警官の衝突の取材中に銃弾に倒れ、殺害された。「非主流派リパブリカン(ナショナリスト過激派)」の警察当局への攻撃の最中のことだった。日本ではあまり報じられていないが、暴動はすでにこの1月から激化していた。容疑者は「新IRA」(民族主義過激派武装組織IRAの分派)の一味とみられている。

漂う暗雲

 イギリスのEU(欧州連合)からの離脱(BREXIT、以下「ブレグジット」)の先行きが見えない。

 EUの基本法「リスボン条約」第50条では、離脱を正式にEUに通告した加盟国は、2年後までに離脱することになっている。3月29日はその期限だった。それが4月12日にまで延期され、さらに4月10日のEU臨時首脳会議で、10月末まで再延期された。「合意なき離脱」を当面まぬがれることはできたが、離脱期限の延期が必ずしも事態を好転させたわけではない。

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