選挙は5月に迫っている(右はアントニオ・タイヤーニ欧州議会議長)(C)AFP=時事

 

 しかし他方で、英下院議会からの代替案の行方もまた見逃せない。

 メイ政府がEU(欧州連合)と合意した離脱協定に対抗する内容で、修正要求を含む提案だ。今のところ議会代替案は2回とも否決されてはいるが、次第に論点は絞られてきている。

 3月27日に下院に提出された8件の提案はいずれも否決され、4月1日にはそのうち4つの提案に絞って採決が行われた。その結果も、いずれも否決だったが、このうち「EU関税同盟に永久に残留」(賛成273票、反対276票)、「下院が可決した協定案の是非を国民投票にかける」(同280票、292票)についての票差は、それぞれ3票と12票だった。ほかの2案は、「EUの単一市場に残留、アイルランド国境問題解決まで関税同盟にも事実上残留」(同261票、282票)、「下院で離脱案の批准ができない場合には、合意なき離脱か、離脱の撤回かを採決する」(同191票、292票)だった。

 この経過を見ると、3回目の代替案の採決では、容認される提案が出てくる可能性もある。この下院での投票結果に法的拘束力はないが、もし採択されることになれば、関税同盟残留や国民投票への付託などの要求を政府は無視できなくなり、離脱協定の内容の変更による妥協(議会の批准)や、離脱そのものの再考という事態に至る可能性もあろう。ただし、テリーザ・メイ首相は関税同盟残留や2度目の国民投票実施の可能性を否定している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。