安定政権となるか「南ア総選挙」直前情勢
2019年4月26日
南アフリカで5月8日に総選挙の投開票が実施される。1994年に全人種参加の選挙が行われ、ネルソン・マンデラ氏が初の黒人大統領に就任してから25年となる節目の年の選挙でもある。
この間、「アフリカ民族会議(ANC)」が一貫して政権を握ってきたが、近年の党勢は衰退傾向にある。昨年2月にジェイコブ・ズマ前大統領の任期を引き継ぐ形で就任したシリル・ラマポーザ大統領が、前政権の腐敗で加速した支持者離れに歯止めをかけ、選挙後に本格始動する政権の安定につなげられるかが焦点だ。
支持者離れが進むANC
アパルトヘイト時代の解放勢力であるANCは、民主化以降に5度行われた国政選挙で人口の8割を占める黒人の強い支持を受け、第1党の座を維持してきた。だが、その得票率は2004年の選挙で獲得した69.69%をピークにじりじりと下降線をたどり、2014年の前回選では62.15%にとどまった。
1994年の全人種参加選挙で政権を取ったANCは、白人と黒人間の所得格差の是正に乗り出す。歴史的に不利を被ってきた黒人の地位向上に貢献する企業を優遇する「BEE制度(Black Economic Empowerment Act=黒人経済力強化政策)」を導入し、かつては一律に貧しかった黒人から富裕層が誕生した。
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