国葬参列を熱望した「今上天皇」と「ベルギー国王」の篤い友情
2019年4月30日
平成が終わろうとしている。その前に、今上陛下の1つのエピソードを記しておきたい。
1993(平成5)年7月31日、ベルギー国王ボードワン1世が急死した。
報に接した陛下は、8月7日に首都ブリュッセルで行われる国葬への参列を熱望された。海外王室や元首の葬儀に、天皇・皇后が参列した前例はない。しかもベルギーへは、9月に公式訪問することになっていた。結局、8月4日、閣議で私的な旅行として了承された。両陛下の初めてのプライベートな海外旅行である。
「ラーケン宮の話をしよう」
出発の8月6日、前月の自民党分裂が原因の総選挙をうけた特別国会で、新生党を中心とする8党派が推す、細川護熙氏が首班に指名された。しかし、首相の任命と閣僚の認証は、皇太子の代行は許されず、9日の帰国後にのばされた。そのため、「天皇は国内の責任を優先すべきだ」という声も上がった。即位して5年、まだ何かと昭和天皇と比較、批判されていた時期でもあった。
それにもかかわらず、なぜ敢行されたのであろうか。
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