国葬参列を熱望した「今上天皇」と「ベルギー国王」の篤い友情

執筆者:広岡裕児 2019年4月30日
エリア: ヨーロッパ アジア
1993年、ボードワン国王(ベルギー)の国葬に列席した天皇・皇后両陛下 (C)AFP=時事

 

 平成が終わろうとしている。その前に、今上陛下の1つのエピソードを記しておきたい。

 1993(平成5)年7月31日、ベルギー国王ボードワン1世が急死した。

 報に接した陛下は、8月7日に首都ブリュッセルで行われる国葬への参列を熱望された。海外王室や元首の葬儀に、天皇・皇后が参列した前例はない。しかもベルギーへは、9月に公式訪問することになっていた。結局、8月4日、閣議で私的な旅行として了承された。両陛下の初めてのプライベートな海外旅行である。

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執筆者プロフィール
広岡裕児(ひろおかゆうじ) 1954年、川崎市生まれ。大阪外国語大学フランス語科卒。パリ第三大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランス在住。フリージャーナリストおよびシンクタンクの一員として、パリ郊外の自治体プロジェクトをはじめ、さまざまな業務・研究報告・通訳・翻訳に携わる。代表作に『エコノミストには絶対分からないEU危機』(文藝春秋社)、『皇族』(中央公論新社)、『EU騒乱―テロと右傾化の次に来るもの―』(新潮選書)ほか。
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