ウクライナ「コメディアン大統領」の成功を警戒する「プーチン政権」
2019年4月26日
ウクライナで4月21日に投票が行われた大統領選の決戦投票で喜劇役者のボロディミル・ゼレンスキーが現職のペトロ・ポロシェンコ大統領に大差を付けて勝利した。政治家とオリガルヒと呼ばれる財閥のエリートが一体となって支配する既存政治に対する国民の不満を背景に圧倒的な支持を集めた。次期大統領は改革者か、ジョーカー(戯け者)か――。
「私は政治家ではない」
ゼレンスキーの政治経験はフィクションの世界に限られる。2015年に放送が始まった「国民の奉仕者」という人気連続コメディードラマで、彼は教師から意図せず大統領に選ばれて政治権力のシステムを突き崩す男を演じた。21日の大統領選後の勝利宣言の舞台では、同ドラマの主題歌を流し、主人公と自らを重ねた。
「私は政治家ではない。普通の男だ。既存のシステムを崩す」
投票直前の4月19日に約2万2000人の有権者を集めて、首都キエフのオリンピック・スタジアムで行われたポロシェンコ大統領との討論会で、ゼレンスキーは繰り返しこう強調した。選挙戦では具体的な政策を示すことなく、ソーシャルメディアでの発信と自ら率いる喜劇団の公演を続けた。
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