金正恩「新体制」と「対米交渉」の行方(1)

執筆者:平井久志2019年4月27日
最高人民会議代議員選挙で投票する金正恩党委員長。だが自身は立候補しなかった[KCNA VIA KNS](C)EPA=時事

 

 ベトナム・ハノイで2月27~28日に行われた第2回米朝首脳会談は事実上決裂し、何の合意も生み出せなかった。北朝鮮がハノイ会談の決裂を受けて、どういう路線を取るかが注目される中で、4月に入ると朝鮮労働党政治局拡大会議、党中央委員会総会、最高人民会議という党、国家の重要会議を連日にわたり開催した。

 北朝鮮は、一連の会議で、国家機関である国務委員会を強化、大幅な世代交代を含む新たな指導体制を確立し、米国の制裁圧迫には屈せず、自力更生路線を貫くという路線を提示した。最高人民会議第14期第1回会議では憲法の改正も行われ、国務委員長の権限が強化された模様で、金正恩(キム・ジョンウン)氏は新たな国務委員長に選出され「人民の最高代表者」になった。

 しかし、米国の制裁圧迫に対抗する闘争方針は、北朝鮮が長年主張してきた自力更生路線の貫徹という新味のない方針だった。自力更生路線は、人民に犠牲を強いながらの苦難の行軍になりそうだ。ハノイ会談決裂以降の北朝鮮の内外状況を検証したい。

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