金正恩「新体制」と「対米交渉」の行方(4)

執筆者:平井久志2019年4月30日
〈表1〉

 

 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』や『朝鮮中央通信』は4月10日、党政治局拡大会議が9日に開催されたことを報じる中で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「党と国家として至急に解決しなければならない問題について深刻に分析され、今日の緊張した情勢」に対して、幹部たちが自力更生などの党の新たな戦略的路線を徹底的に貫徹することを求めた、と報じた。米朝ハノイ会談以後の状況を「緊張した情勢」とする認識が紹介された。

金英哲、朴光浩両部長の健在を確認

 北朝鮮メディアは党政治局拡大会議の写真を報じたが、ハノイ会談の決裂で責任を問われるのではという見方も出て注目されていた金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長が出席し、健在であることが確認された。拡大会議では金党委員長が楕円形の机の端に座り、左右に党政治局常務委員や政治局員、政治局員候補が座った。その外側に党第1副部長や部長らが座った。金英哲党統一戦線部長は金党委員長に向かって右側の6人目だった。韓国の情報機関、国家情報院が4月24日の国会・情報委員会で統一戦線部長が金英哲氏からチャン・グムチョル氏に交代したと報告したが、この党政治局拡大会議についての北朝鮮報道の時点では、金英哲部長の政治序列にあまり大きな変化がなく、健在であるとの見方が支配的だった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。