金正恩「新体制」と「対米交渉」の行方(4)

執筆者:平井久志 2019年4月30日
エリア: アジア
〈表1〉

 

 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』や『朝鮮中央通信』は4月10日、党政治局拡大会議が9日に開催されたことを報じる中で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「党と国家として至急に解決しなければならない問題について深刻に分析され、今日の緊張した情勢」に対して、幹部たちが自力更生などの党の新たな戦略的路線を徹底的に貫徹することを求めた、と報じた。米朝ハノイ会談以後の状況を「緊張した情勢」とする認識が紹介された。

金英哲、朴光浩両部長の健在を確認

 北朝鮮メディアは党政治局拡大会議の写真を報じたが、ハノイ会談の決裂で責任を問われるのではという見方も出て注目されていた金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長が出席し、健在であることが確認された。拡大会議では金党委員長が楕円形の机の端に座り、左右に党政治局常務委員や政治局員、政治局員候補が座った。その外側に党第1副部長や部長らが座った。金英哲党統一戦線部長は金党委員長に向かって右側の6人目だった。韓国の情報機関、国家情報院が4月24日の国会・情報委員会で統一戦線部長が金英哲氏からチャン・グムチョル氏に交代したと報告したが、この党政治局拡大会議についての北朝鮮報道の時点では、金英哲部長の政治序列にあまり大きな変化がなく、健在であるとの見方が支配的だった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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