金正恩「新体制」と「対米交渉」の行方(8)

執筆者:平井久志2019年5月4日
金正恩「共和国武力最高司令官」の約5カ月ぶりの視察は、人民軍航空部隊からだった(『労働新聞』HPより)

 

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は4月14日、金日成(キム・イルソン)国家主席の誕生日(4月15日)に際し、軍人の軍事称号の昇格に関する党中央軍事委員会委員長としての命令を下した。この命令で、朴正天(パク・ジョンチョン)副総参謀長、金光赫(キム・グァンヒョク)空軍司令官、金明植(キム・ミンショク)海軍司令官が大将に、33人が少将に昇格した。

金正恩「共和国武力最高司令官」

 一方、金党委員長は故金日成主席の誕生日の4月15日、故金日成主席や故金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を、党政治局メンバーや新たに国務委員に選ばれた側近たちと訪問した。党機関紙『労働新聞』はこれを報じる中で、金正恩氏に「朝鮮労働党委員長」、「国務委員会委員長」に加え「朝鮮民主主義人民共和国武力最高司令官」という呼称を使った。これまでは「朝鮮人民軍最高司令官」という肩書きであったが、「共和国武力最高司令官」に変わった。

 北朝鮮メディアがなぜこの呼称に変更したかはまだ不明だが、憲法の改正と関係している可能性がある。「朝鮮人民軍」から「共和国武力」に変更になった背景には、正規軍の人民軍だけでなく民兵組織や警察組織などすべての「国家武力」の「最高司令官」になったのかもしれない。

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