金正恩「新体制」と「対米交渉」の行方(8)

執筆者:平井久志 2019年5月4日
エリア: 北米 アジア
金正恩「共和国武力最高司令官」の約5カ月ぶりの視察は、人民軍航空部隊からだった(『労働新聞』HPより)

 

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は4月14日、金日成(キム・イルソン)国家主席の誕生日(4月15日)に際し、軍人の軍事称号の昇格に関する党中央軍事委員会委員長としての命令を下した。この命令で、朴正天(パク・ジョンチョン)副総参謀長、金光赫(キム・グァンヒョク)空軍司令官、金明植(キム・ミンショク)海軍司令官が大将に、33人が少将に昇格した。

金正恩「共和国武力最高司令官」

 一方、金党委員長は故金日成主席の誕生日の4月15日、故金日成主席や故金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を、党政治局メンバーや新たに国務委員に選ばれた側近たちと訪問した。党機関紙『労働新聞』はこれを報じる中で、金正恩氏に「朝鮮労働党委員長」、「国務委員会委員長」に加え「朝鮮民主主義人民共和国武力最高司令官」という呼称を使った。これまでは「朝鮮人民軍最高司令官」という肩書きであったが、「共和国武力最高司令官」に変わった。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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