英国の「移民」考(中) 「問題」は仕立て上げられた
2019年5月9日
英国への旧東欧からの「移民」のうち、最も多数を占めたのはポーランド系だった。
欧州連合(EU)東方拡大時の2004年の統計を見ると、英国に暮らす外国生まれの人数で最も多いのは50万人超のインド、続いてアイルランド、パキスタンの順で、ポーランド生まれは15位の9万4000人に過ぎない。これが翌年16万2000人、06年26万5000人と急増し、2017年には92万2000人に達した。これは、インド系を10万人近く上回ってトップである。
形勢逆転を狙って利用したテーマ
これほど増えると、英国内で反発が出ても当然のように見える。「移民」の増加とともに市民の間に反移民意識が芽生え、「英国人から雇用を奪うのでは」「英国の福祉を食いものにしかねない」といった懸念が増幅され、EU離脱派の主張に結びつく――。容易に想像できるストーリーである。
ただ、実際にはそれほど直線的にことが進んだわけでもない。市民は、必ずしも常に「移民問題」に関心を抱いたわけではなかった。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。