英国の「移民」考(中) 「問題」は仕立て上げられた

英イングランド北部ウェークフィールドにあるポーランド系をはじめ旧東欧諸国やバルト3国からの「移民」向けの食材を扱うスーパーマーケット(筆者提供)

 

 英国への旧東欧からの「移民」のうち、最も多数を占めたのはポーランド系だった。

 欧州連合(EU)東方拡大時の2004年の統計を見ると、英国に暮らす外国生まれの人数で最も多いのは50万人超のインド、続いてアイルランド、パキスタンの順で、ポーランド生まれは15位の9万4000人に過ぎない。これが翌年16万2000人、06年26万5000人と急増し、2017年には92万2000人に達した。これは、インド系を10万人近く上回ってトップである。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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