苦しい「言い逃れ」が目立った黒田総裁(C)時事

 

 景気の減速懸念が強まっている中、日本銀行の金融政策が“手詰まり状態”に陥っている。黒田東彦総裁は、4月24、25日の金融政策決定会合で、政策金利のフォワードガイダンス(先行き指針)の明確化を行ったが、これは“リップサービス”であり、金融政策を強化するものではない。

小手先の手段

 米中の貿易戦争の激化が、景気に暗い影を落としている。日銀の「全国企業短期経済観測調査(短観)」3月調査では、指標となる大企業製造業の業況判断が2四半期ぶりに悪化した。

 総務省が4月19日に発表した2018年度の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数で0.8%上昇と1%を下回り、日銀が政策目標とする2%上昇には遠くおよばない状況にある。

 4月8日に日銀が発表した「地域経済報告(さくらレポート)」では、東北地方や北陸地方、九州・沖縄地方で景気判断を引き下げた。3つ以上の地域の景気判断を同時に引き下げたのは6年3カ月ぶりで、今後の経済の先行きについても、前回よりも悪化している。

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