王宮のバルコニーには「黄色い人々」が押し寄せた(C) EPA=時事

 

 5月4~6日の3日間、タイ・バンコクの王宮を中心とした一角を中世王朝絵巻風の豪華絢爛たる雰囲気に包んだチャクリ王朝10世マハ・ワチュラロンコン国王の戴冠式は粛々と進められ、タイにおいても新しい時代が始まった。

 戴冠式が終わるのを待っていたかのように、政界は民政移管=新政権発足に向けて一気に動き出した。現状から判断するなら、「暫定」の2文字を取り外したプラユット・チャンオチャ政権が続くことは否定し難い。もっとも「何でもあり」のタイであればこそ、一寸先は闇だということを忘れてはならないのだが……。

 ここで注目したいのが政権を取り巻く権力構造であり、歴代憲法がタイの国是として掲げてきた「国王を元首とする民主制度」の将来である。はたして新国王の下での王国としてのタイは、どのような“国のかたち”を目指そうとしているのか。

「プラユット続投」に向けた環境整備

 3月24日の総選挙結果は、翌25日に中央選挙管理委員会から公表された。だが、それは飽くまでも暫定議席数でしかなく、正式発表は5月9日まで待つしかなかった。

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