「イラン核合意」を巡って、緊張が高まる中東。イランのロウハニ大統領は、どう立ち回るのか (C)時事=AFP PHOTO / HO / IRANIAN PRESIDENCY

 

 何やら世界がきな臭くなってきた。米国が中国、イラン、北朝鮮、ベネズエラに対して、二正面ならぬ“四正面”作戦を展開しようとしている。中でも、緊張をはらんでいるのが、「米中経済対立」と「米イラン軍事対立」だ。とかく米中に目が行くが、ヨーロッパから見れば、米中以上に緊迫感を覚えるのが米イラン対立だ。一部では軍事衝突も噂される。

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 2015年、米英仏独に露中を加え、イランとの間でまとめ上げた核合意だったが、2018年5月、米国が突如離脱すると表明した。米国は同年8月、イランへの制裁再開を発表、一部の適用除外を認めてきた。そして今回、例外なくイラン産原油輸入を禁止するとした。

 2018年の米国離脱以降、EU(欧州連合)は核合意存続のために頭を悩ませてきた。核合意はヨーロッパの安全に直結する問題だし、交渉を通じて多国間外交が成し遂げた金字塔だからこそ、米国が抜けたからといって、おいそれと反故にするわけにはいかない。

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