米中「関税合戦」で米「LNG第2の波」に暗雲

執筆者:岩瀬昇2019年5月20日
米中紛争の「余波」が(写真はイメージです)

 

 中国が対米報復措置として追加関税を課した物品に液化天然ガス(LNG)が含まれていることが判明し、米国の「LNG第2の波」に暗雲が立ち込めている。

 2016年初めから来年2020年にかけて、順調に立ちあがってきている米国のLNG製造装置は、多くが一時ブームだった「LNG輸入基地」を転用したもので、「LNG第1の波」と呼ばれている。

 エネルギー世界は、「パリ協定」に代表されるように大きく「低炭素化」に向かっている。これに後押しされ、相対的にCO2含有分の少ない天然ガス、なかでも多様な国際貿易が可能なLNGへの需要が高まっている。この流れの中で、シェール革命によって低コストで大量に生産されるようになった天然ガスを利用した、グラスルーツのLNG基地建設プロジェクトが、メキシコ湾岸を中心に「LNG第2の波」として押し寄せているのだ。

 だが、近い将来急増すると見られているLNG需要の大半が、実は中国市場にある。現在、日本に続いて世界第2位のLNG輸入国である中国が、日本を追い抜き世界一のLNG輸入国になるのは時間の問題だ。天然ガス全体としては、トルクメニスタンやロシアから、パイプラインで天然ガスを輸入している中国がすでに世界一の輸入国である。

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