5月20日にはマドゥロ大統領の「再選1周年」を祝う式典が開かれた(C)AFP=時事

 

 4月30日、フアン・グアイド国会議長が「国家諜報機関(SEBIN)」のトップを巻き込んで主導した反政府決起の試みは失敗に終わった。

 1月23日に国会議長が暫定大統領に就任を宣言して以来、政権の正統性をめぐり国際社会を二分し「破滅的な膠着状態」(英『フィナンシャル・タイムズ』)に陥った中で、これまでにない軍の幹部が関与しての蜂起の呼びかけであった。

 2014年の反政府蜂起で政治犯として逮捕され、2017年から自宅軟禁となっていた野党指導者レオポルド・ロペス氏が、諜報機関により解放され、国会議長とともに姿を現したのも効果的だった。軍内「クーデター」によるニコラス・マドゥロ大統領退陣かと思わせたが、翌日のメーデー以降連日続いた反政府抗議行動の攻勢を経ても、軍内に追随する反政府の流れをつくり出すには至らず、治安部隊による弾圧で反政府デモも急速に萎む形となった。

 決起に伴う混乱収拾後、マドゥロ政権による国会副議長の逮捕や国会閉鎖など、政権による野党勢力への締め付けが一段と強まった。解決の選択肢を失ったグアイド氏は5月10日、「米国の軍事的関与を受け入れる用意がある」と述べ、国会は米軍の介入を認めるため米州相互援助条約への再復帰を審議するとともに、国会側の指名したカルロス・ベッチオ全権代表に米軍の南方方面軍と接触するよう指示したと発言するに至った。

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