今度こそ「カンフル剤」は効くのか(C)AFP=時事

 

 巨大インフラ投資などによる歳出拡大や対外債務膨張で国際収支の悪化に直面しているパキスタンが5月上旬、「国際通貨基金(IMF)」との間で39カ月、60億ドル(約6600億円)の支援パッケージで基本合意した。

 すでに中国やサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といった友好国から90億ドル以上の財政支援を獲得しているパキスタンは今後、アジア開発銀行や世界銀行からも数十億ドル規模の支援を引き出す見通しで、120億ドルと言われる国際収支のギャップを埋めることは数字上、ひとまず可能となった。

 だが、パキスタンは改めてIMFの指導下、増税や補助金削減、公共料金引き上げなど、国民の痛みを伴う改革を迫られることになる。それを態度で示すのが、まもなく具体化する2019年度(2019年7月~2020年6月)予算案だ。隣国インド以上に、農村や貧困層対策に腐心する政府にとっては厳しい選択を迫られそうだ。

22回目のSOS

 パキスタンがIMFに駆け込むのは、1958年以来22回目となる。直近はナワズ・シャリフ首相(当時)が率いたパキスタン・イスラム教徒連盟ナワズ派(PML-N)政権時代の2013年に合意した約66億ドルの財政支援。この時は、3年間の改革プログラムを無事「修了」。その後パキスタン経済は上向きに転じ、2017年度(18年7月期)に6%近い成長を達成することができた。

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