北朝鮮「ミサイル発射」挑発の真意(2)
2019年5月23日
北朝鮮が5月4日、9日に発射した「短距離ミサイル」は、北朝鮮が公表した写真などから、前述した「北朝鮮版イスカンデル」の可能性が高いとみられている。しかし、このミサイルが登場したのは実はこれが初めてではない。
昨年2月のパレード登場ミサイルか?
北朝鮮は平昌冬季五輪開幕式の前日の2018年2月8日、「建軍70周年」に行った軍事パレードで、新型の短距離ミサイルを登場させた。移動式発射台に2基ずつ6台の4軸装輪式車両が登場したが(冒頭写真)、北朝鮮は、まだこのミサイルの発射実験を行っていなかった。5月4日、9日に発射されたのは、このパレードに登場した新型短距離ミサイルではないかという見方が有力だ。
国際戦略問題研究所(IISS)のミサイル専門家であるマイケル・エレマン非核拡散核政策局長は昨年2月当時、北朝鮮専門サイト『38ノース』への寄稿で、このミサイルはその外形や大きさからロシアの短距離ミサイル「イスカンデル」に基盤を置いたミサイルとみられるが、韓国の短距離ミサイル「玄武2」とも似ている点があると指摘していた。さらに当時注目されたのは、パレードに登場した新型短距離ミサイルの背中部分にデータ交信用とみられるケーブルがあったことだ。ミサイル先頭部分の誘導装置の信号を、ミサイルの下部へ送るためのものとみられた。「イスカンデル」にも同じようなデータ交信用ケーブルがあるが、北朝鮮のものほど長くなかった。
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